『今の気持ちと未来の気持ち』を考えてみた
- 2016.07.12 Tuesday
- 00:08
朝日新聞beで連載している『悩みのるつぼ』。今回は岡田斗司夫さんの回答の週。
(悩みのるつぼ)二つの思いに裂かれる就活
まだ回答は読んでいないので自分なりの回答を書いてみた。
以下本文------------------------------------------------------------
親に万が一のことがあったらと心配になる気持ちはよくわかります。私は高校を卒業してから大阪で就職しましたが、二十代のころ実家の父親が入院しました。毎週、土日は大分まで夜行バスで帰っていました。母はもっと前に亡くなっていましたから、実家には父一人でした。だから、すぐ側に住んでいればと思わないではありませんでした。
しかし、「もっと一緒にいればよかった」とは考えませんでした。私が薄情なだけかもしれませんが、もし、私が自分の気持ちを押し殺して父と暮らしていたら、そちらの方が後悔していたと思います。
あなたの相談文を読んでいると「一緒に暮らしたい」「家の近くで就職」「いつでも帰って(来い)」という言葉を発しているのは、あなたの親御さんですね。
親御さんがあなたに望んでいるのは実家で一緒に暮らしてほしい。留学中でも「帰ってきていい」と言ってしまうくらい本音はあなたと一緒にいたいのでしょう。それがあなたも痛いほどわかっているから苦しいのですね。
反面、あなた自身の言葉は「育ててくれたお礼がしたい」「『もっと一緒にいればよかった』と後悔したくない」と親御さんの気持ちをおもんぱかっているか、未来の気持ちの心配をしているかいずれかです。本当にあなたの心のどこかに「一緒に暮らしたい」という気持ちがあるかは疑問です。
肝心なのは、もし実家の近くで就職させてくれる企業が見つからなかった場合、親御さんに尋ねてみてください。「ニートとして実家で一緒に暮らす」か「どこか遠くで就職する方がいいか」。
とにかくどこか働かせてくれるところがあるかが問題ではないでしょうか。働いてもいいと言ってくれる企業が実家近くにあれば一緒に住む代償としてあなたはその自由を親御さんに保障してもらうのはいかがでしょうか。あなたが就職して経済的に独立することを条件にあなたの生活に干渉しないことを要求するのです。
あなたが欲しているのは自由。「行き先を告げずに出かけ」「好きなものを食べ」「好きなものを買い」「好きな時に寝て起きる」。誰にも縛られない自由があなたの求めていること。それは親御さんと暮らすことになっても可能なはずです。もしかしたらそんなことを許してくれる親御さんではないのでしょうか。
だったら実家近くに働き口がないと嘘をついてでも遠くに自由を求める方が後悔しないと思います。少なくとも私は父が亡くなった時でも後悔はしませんでした。(998文字)
本文ここまで------------------------------------------------------------
おそらく今まで考えた中でかなり早く回答に行き着いた相談だった。一緒に暮らす代わりに自由を保障してもらうのは矛盾しないと思った。しかし、書いているうちにそういう自由を許さない親なのではないかと思い、最後の一文を盛り込んだ。
とにかく、まずは就職しなくては話にならないから自由が欲しいという心配は早すぎる気がした。