「映画を早送りで観る人たち」を読んでる。
最近の若者は仲間と話題を共有するために効率よく映画を視聴する方法として早送りやスキップしながら観ているらしい。
それに批判的な人も結構いる。この著者もその1人。
僕はパオロ・マッツァリーノさんが自身のブログで批判しているのを読んで初めて興味を持った。
パオロさんにしては珍しく頭ごなしにその効率性を疑って批判している気がした。早送りで観るのはタイムパフォーマンスとしてはよくない。
パオロさんがやってるやり方は、映画の最初の数分間を観てつまらなかったらその後は観ない。そうすればタイパとしては効率的だと。
たしかに映画の見かたとしてはタイパがいいと言える。でもそれだと仲間うちでの話題についていくことはできない。
手段の正しさのためなら目的を犠牲にしろということなんだろうか。
彼らは自分たちの目的を達成するために自分のできる最適解を出してるだけだろう。
それになぜ若者がそんな試聴方法を取ってるのかわからないなら、実際にやってみればいいのに。
僕が見ているかぎりこの本の著者以外は早送りで映画を観て批判している人は見当たらない。
なら僕がやってみよう。
まずGyaoに入ってる「大空港2013」を2倍速で観る。
それからAmazon prime videoで「トップガン」。こちらは倍速視聴ができないからスキップしながら観る。
率直な感想は
「こんなに集中して映画を観たのはずいぶん久しぶり」。
普段はiPhoneを片手にFIREタブレットで映画を流し見してる。現に今も「ダイハード」を観ながらこの日記を書いてる。
こんな「ながら視聴」だって映画を作っている人から見たら噴飯ものだろう。
だから僕自身は若い人たちの倍速視聴をどうこういう資格はないと思う。
むしろ倍速やスキップしながら観る方が僕なんかより真剣に映画を観てるということがわかった。
「大空港2013」も「トップガン」もストーリーを知るくらいなら十分。
「トップガン」のストーリーは、生意気な主人公がチームメイトを事故で亡くす。周囲が叱咤激励するが落ち込んでる。やがて実戦で活躍して立ち直る。
というあらすじくらいなら理解できた。
それ以外のラブロマンスとかはさっさと飛ばしてF-14トムキャットの飛行シーンや戦闘シーンばかり観てる。あと「Danger zone」と「Mighty wings」はちゃんと聴いた。
それを40分間で済んだ。
「大空港2013」は最初、竹内結子さんがチャカチャカ動くのが気になったがものの数分で気にならなくなった。
でも、ギャグも笑えるくらい理解できた。倍速でわからない演技なら標準だってわからないと思う。
以前標準で観た時に面白いと思わなかったのに倍速でだと集中して観たせいかずいぶん面白く感じたもの。
それが約1時間。
倍速やスキップが決して悪い視聴方法だとは思わない。
でも自分がそれをやるかどうかはわからない。
速読ができるようになった時、自分にとって読書は「娯楽」だということがよくわかった。
少しずつ楽しみながら本を読むことが好きで目的のために情報をえる手段じゃないことが速読をできて初めて理解した。
それと同じで映画もスマホを片手にながら見するくらいのゆるさが性に合ってる。
ただ、もしかしたらスキップだったら1974年版の「日本沈没」を観れたかもしれない。
そんな選択肢が手に入ったのはいいことだと思う。