サイモン・シン『フェルマーの最終定理』を読んだ
- 2012.09.09 Sunday
- 01:50
3 以上の自然数 n について、xn + yn = zn(nはべき乗) となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組み合わせがない − Wikipediaより引用。
これが俗にいう「フェルマーの最終定理」と呼ばれる問題のすべてであるそうな。n=2の場合だったらピュタゴラスの定理と呼ばれていて中学の時に習ったはず。ところがn=3になった途端にこの式は成立しなくなる。
これだけだったら、簡単に感じるが実際にそれを証明するのは非常に難しい。なぜなら3以上の自然数なんてそれこそ無限に存在するんだから一つ一つ当てはめていったら永遠に終わらない。だから、論理的に積み上げていって結論を導き出す『数論』で証明する以外に方法はない。
結局フェルマーの時代から3世紀たった1995年にアンドリュー・ワイルズが完全に証明することに成功した。この本はそのドキュメンタリー番組を元にして書かれた。
書かれている数学的説明などはほとんど理解できないが(これでも数学は得意だったんだけどな。中学まで・・・)そこに描かれている様々な数学者たちのドラマは読んでいて涙を流しそうになる。翻訳者の青木薫さんが訳者あとがきで書かれていたが、女性数学者と日本人数学者の扱いに愛情がこもっていて特に泣けてしまう。
この本を読みながら考えたことだけど、ワイルズは結局、20世紀になってから発見された数学技法を使って証明した。しかし、フェルマー自身はどうやってこの問題の解を見つけたのだろう?
立方数を2つの立方数の和に分けることはできない。4乗数を2つの4乗数の和に分けることはできない。一般に、冪が2より大きいとき、その冪乗数を2つの冪乗数の和に分けることはできない。この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。
と、フェルマーもディオファントスの『算術』と言う本の余白にそう書き込んでいるのだから証明が完了していると考えるのが自然だろう。
もちろん他の数学者たちもその疑問を当然持っていたそうでこの本の最後のほうで少し書かれている。
1.フェルマーは17世紀までの数学的技法で証明を導いたがそれは勘違い。
2.実は17世紀以前の数学的技法で証明可能だった。
まあ、妥当な解釈は1番だろうな。たまたまフェルマーが考えたこの定理が正しかっただけで、フェルマーがちゃんとした証明ができていたという証拠はないんだから。
だけど、僕はあえて第3の仮説を提案したい。
3.実はフェルマーは20世紀で発見された技法を独自に見つけ出していた。
・・・無理だろうね。そんなことができていたら絶対どこかにメモが残っていたと思うし。でも、フェルマーは自身の研究を論文という形では残していないらしい(彼の本職は弁護士。数学は趣味だった。すげぇ)のでもしかしたら300年以上先のレベルにまで到達していたのじゃないかしら?
少なくともそんなSFが書けそう。